デジタル通貨について、解説します。以下について、知ることができます。
・通貨とは
・通貨がデジタル化されるということ
・何が変わるのか
■通貨とは
貨幣（Money）とは、個人間、企業間、個人と企業間など取引をするために必要となる道具です。
貨幣は、取引されたモノが姿を変えたものです。
モノが持っていた人の役に立つ機能はすべてそぎ落とされ、単なる「数字」です。
この意味は、モノが発揮する有益性という定性的な量を、定量的な量として明示化したことです。
通貨とは、貨幣をより広範囲で使えるようにしたものです。国で発行されるドル、円、元などがあります。
発行する国で、通貨の流通量（マネタリーベース）が管理されています。
日本で発行される通貨（紙幣（銀行券と呼ばれる）とコイン）は、日本銀行が管理をしています。
マネタリーベースとは、「日本銀行が世の中に直接的に供給するお金」のことです。具体的には、市中に出回っているお金である流通現金（「日本銀行券発行高」＋「貨幣流通高」）と日本銀行当座預金（日銀当座預金）の合計値です。
マネタリーベース＝「日本銀行券発行高」＋「貨幣流通高」＋「日銀当座預金」
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/statistics/h06.htm/
■通貨がデジタル化されるということ
通貨も貨幣である限り、ただの数字です。したがって、もともとデジタルです。
デジタル通貨の意味は、
これまで通貨を紙や金属として物理的な形で模倣してきた慣習を廃止するということです。
すでに、預金者の口座に入っているお金はすべてコンピュータ上でデジタル化されて管理されています。
預金者が、自分の口座に入出金する際、現金（紙幣やコイン）を使うので、仕方なくATMや窓口を設置しているにすぎません。
デジタル通貨とは、現金がなくなり、
例外なく、すべて取引が口座間で自動送金される仕組みを構築するという「宣言」であると言い換えることができます。
デジタル通貨によって、日本銀行が行っている通貨を管理する無駄な作業はなくなります。
現金を入れる財布、それらを引き出すATMや窓口なども不要です。
そして、コンビニやスーパーの店員も不要となるでしょう。
店員が、商品のお金を受け取り、金額を確認する行為がいらなくなるからです。
すべての取引の決済が、自動で、正確かつ迅速に、そして無意識に遂行されます。
取引に必要とされる決済の速度が一瞬で終わる世界が訪れることになるのです。
■何が変わるのか
デジタル通貨によって変わることは、上述して取引の利便性だけではありません。
すべての取引の履歴がデジタル化され、記録されることが最も大きなメリットです。
企業の経理業務は、すべて自動化されることになるでしょう。
そして、誰が、いつ、何を、どこから買ったのか、
そしてお金を受け取ったのか誰なのかが、漏れなく、すぐにわかることになります。
それらに基づいた組織や人の判断も迅速化され、高度化されます。
その結果、ビジネスモデルの優劣の差が、より顕在化し、
強いものがより強くなる世界が出現するのではないかと考えます。
また、通貨をデジタル化する手段も変わることになります。
通貨は、これまで、銀行にあるコンピュータのデータベースで一元管理されてきました。
しかし、これでは、銀行の中にいる人しかアクセスすることができません。
通貨をデジタル化するということは、現金のように誰でもが保持できる機能が必要です。
一方、デジタル化されれば、編集は容易です。改ざんなど不正アクセスを防止する必要があります。
このように、利便性と安全性を同時に実現することを「可用性」と言います。
デジタル通貨の「可用性」を確保するには、仕組みを変えなければなりません。
その新しい仕組みの一つが「ブロックチェーン」です。
通貨の一元管理をやめ、セキュリティを確保した分散管理することで、
可用性を実現しようとするものです。
既存の仕組みを壊し、
国家単位でデジタル通貨のアーキテクチャをどうするのかを考えることは、金融DXの本丸と言えます。
