プロジェクトにとって、納期は、顧客との絶対不可侵の約束事です。つまり、納期は、プロジェクトにとって、制限であり、動かすことはできないものとして、プロジェクトを進めていかなければなりません。
納期を変更することによって発生する最も大きな影響は、リリース後に予定された顧客の計画へも変更が余儀なくされるからです。顧客自体も自社内も含め、ステークスホルダーを抱えており、計画をアナウンスすることで仕事をしています。
その結果、納期の変更は、いわゆる「バタフライエフェクト」のように、大きく広範囲に影響を与えます。したがって、その反発は、想像を超えるものとなることを覚悟しておく必要があります。
また、プロジェクト自体にも、少なからず影響があります。それは、コストの増加です。人を長くプロジェクトにとどめるための人件費が増加します。納期を長くすればするほど、それは増大していきます。いずれ、プロジェクトが保有するバッファの予算を食いつぶし、赤字へと転落していきます。これは、企業の倒産と同じで、プロジェクトはもう前に進むことはできず、頓挫してしまいます。
こうなってしまったときは、お金を調達するしかありませんが、調達先は社内となります。組織の上長に説明と謝罪、そして、資金の出資を依頼をすることになります。
納期を変えずにスケジュールを編集する最も簡単な方法は、以下の2つです。
1)作業の平行化
全てのタスクを横一線に並べる
2)作業の期間短縮
全てのタスクの期間を短くする
ただし、増員によるコスト増を招きます。増員をしないなら、エンジニアの頑張りという根性論に頼ることになり、大きな反発を生むことになるでしょう。
これらは、小手先だけでしかありません。納期に立ち向かうには勇気しかないのです。
具体的には、以下のようなメンタルが必要です。
①常に現実を直視し、何をつくっているのか、常に理解に努めよ
②毎日、何か意思決定せよ
③100点主義を捨てて挑み、腹をくくって落とせ
④クソどうでもいい仕事(ブルシット・ジョブ)を排除せよ
■ まとめ
「スキルも知識も納期の前では、無力化する」
納期までの貴重な時間を、どう使うか。それは、技術的なスキルや知識とかではなく、本当のマネジメント力が必要となります。そのプレッシャーは相当なもので、その中で勇気を発揮できるかどうか、人間性も試されます。